5月27日は レイチェル・カーソンの誕生日です
『沈黙の春』で有名なレイチェル・カーソンは、生物学者であり、作家です。
彼女は同書で、農薬に使われる化学物質の危険性を訴えました。
彼女の作品『センス・オブ・ワンダー』(上遠恵子訳 新潮社 1996)が大好きです。
一節を紹介します。
子どもたちの世界は、
いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。
残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、
美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、
あるときはまったく失ってしまいます。
もしもわたしが、
すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、
世界中の子どもに、生涯消えることのない
“センス・オブ・ワンダー = 神秘さや不思議さに目をみはる感性”
を授けてほしいとたのむでしょう。 …
大きな波の音 白い波頭 波しぶき
ある秋の嵐の夜、
わたしは一歳八か月になったばかりの甥のロジャーを毛布にくるんで、
雨の降る暗闇のなかを海岸へおりていきました。
海辺には大きな波の音がとどろきわたり、
白い波頭がさけび声をあげてはくずれ、波しぶきを投げつけていきます。
わたしたちは、まっ暗な嵐の夜に、
広大な海と陸との境界に立ちすくんでいたのです。
そのとき、不思議なことにわたしたちは、
心の底から湧きあがるよろこびに満たされて、
いっしょに笑い声をあげていました。 …
「これはきっとクリスマスツリーね」
わたしたちが、はじめてクリスマスツリーごっこをしたのもその森のなかでした。
あたりにはいろいろな大きさのトウヒの若木がたくさん頭をだしていて、
なかにはロジャーの指ほどの小さい苗もありました。
わたしは、小さな赤ちゃんトウヒをさがしはじめました。
「これはきっとリスのクリスマスツリーね」と、わたしはいいました。
「 … あら、こっちのはとっても小さいから、きっと虫のツリーね。
このちょっと大きいのは、ウサギかウッドチャックのよ」
この遊びは、森へ散歩にいくたびにおこなわれるようになりました。
「クリスマスツリーを踏んじゃだめよ!」
散歩のとちゅうに、そんな声をあげることもしばしばでした。
…
科学者の知性と、詩人の感性が生み出したすてきな作品です。
近所をウォーキングするときなど、
草花をはじめいろんなものを見るきっかけとなりました。