人生百年 有為自然

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有為自然 135    大好きな先生から 「たいしたことないわねぇ」と …

 

 大好きな先生から「たいしたことないわねぇ」と …

 

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『ヨーコさんのことば ふっふっふ』のつづきです。

小学校三年生の時の教師は 十八歳の女の代用教員だった。
日本中が貧しくて、 しらみがどの子の頭にも 住んでいた。
その中でもひときわ たくさんしらみのいる 女の子が側に来ると
十八の先生は 「キャー汚い」 と逃げたのである。

私たちも当然、大っぴらに 「キャー汚い」と逃げ回ったが、
首をたれてじっと私たちを見た あの女の子の目を
私は決して忘れることが できなかった。

この話を読んで思い出したことがあります。

暗い小学校時代、唯一、明るい時期がありました。
小学校4年生の時です。
クラス担任は、まだ二十歳を過ぎたばかりの若い女の先生でした。
笑くぼのある、可愛い先生です。

毎朝、歌をうたうことから学校生活が始まりました。
先生に気軽に話しかけたり、からかったりもしました。
あまりにうるさいので、先生から「タケヤブノスズメ」というあだ名をもらいます。
あの無口で暗い子どもが、明るくなったのです。
当然のことながら、先生に恋心も抱いていました。

 ところが、体育の授業で、かけっこの練習をしているときのことです。
ビリを走っていた私に、先生は、
「〇〇くん、たいしたことないわねぇ」と笑いながら声をかけました。
クラスで勉強はできる方だったので、先生にとってはビリが意外だったのでしょう。
しかしこの一言は、ショックでした。
大好きな先生が、私が一番気にしていることに触れたからです。

昼食時間になっても教室へ戻りませんでした。
運動場の片隅の草むらの中で、泣いていました。

空が青かった。
今思い出しても、涙が出そうになります。
その日を境に、以前の明るい自分には戻れませんでした。
あれが最初の「失恋」だったのでしょう。
小学校時代の悲しい思い出です。

 でも先生とは、年賀状のやり取りが続きました。
結婚されて、首都圏に来られます。
子どもが赤ちゃんの時に、ご自宅に遊びにも行きました。
20年ほど前、長女の方から電話があり、通夜に行きます。
こんな近くに引っ越されていたのなら、お元気なうちに会っておけばよかった。
生きておられたら今、80代に入られたばかりでしょう。