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有為自然 136    タカサゴユリは 父を思い出させる花です

  タカサゴユリは 父を思い出させる花です

 

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今日は、8月15日

庭のすみに、今年もタカサゴユリが咲きました。

父の初盆のときに咲いていたので、この花を見ると父を思い出します。

 

父の弟は、徴兵年齢以前に軍隊に「志願」し、沖縄で戦死しました。

まだ十代でした。

志願に際して、兄である父に相談したそうです。

父は、了承しました。

戦後、父はずっとそのことを苦にしていたようです。

「平和の礎」の出身県の石碑に、叔父の名が刻まれています。

 

父は「繰り上げ卒業」で軍隊に入り、やがて「通信兵」の任につきました。

部隊は、訓練でよく市街地を行軍したそうです。

若い兵隊たちは、行軍の時によく見る美しい娘さんのことを話題にしていました。

 

空襲にやられた市街地を、父たちの部隊は片づけにはいります。

焼けた防空壕を掘っていると、その娘さんの遺体が出て来たそうです。

顔も身体もまっ黒に焦げて。

 

その夜、その防空壕近くを通らなければならない「伝令」の命令が出されました。

伝令の任務を誰も引き受けません。

父が手をあげました。

明かりのない真っ暗な中を急ぎます。

昼間、片づけた防空壕近くで、父は鉄条網に足を引っかけてしまいました。

はずそうとしても、なかなかはずれなかったそうです。

やっとのことで任務を終え、部隊に戻りました。

真っ青な顔をした父を見て、誰も笑う者がいなかったそうです。

 

父は内地にいたために、人を殺したことはありません。

しかし、わずか8カ月間ですが、軍隊の経験をしました。

米軍機からの「機銃掃射」を受けるなど、さまざまな戦争体験をしています。

 

このクニの人も、このクニの支配からの解放を喜んだ国々の人たちも、

それぞれ戦争の深い傷を、記憶にも身体にも刻みました。

そのことを「知らない人たち」「知ろうとしない人」たちが、

このクニを動かしているのは怖いことです。

 

それにしても、父や母からもっと

いろんな話を聞いておけばよかったと、今になって思います。

 

* タカサゴユリ外来種であり、在来種と交雑するそうです。

  父の初盆を思い出させる花なので、抜き取ることが出来ません。

  種子が散るのを防ぐために、咲き終わるとすぐに摘むようにしています。