「生徒指導の先生」に 呼び出されて 「 … 」
高校3年の夏休み。
映画『人間の条件』全6部が、オールナイトで上映されるという話を聞きました。
皆で観に行こう、という話になります。
どういうわけか、学校に知られ、生徒指導の先生に呼び出されます。
「君は成績がよいのでいいが、他の者を誘うな」と。
反論しましたが、最後には「親を呼ぶ」と言われたので、折れました。
観に行ったのは、数人。
初めての、徹夜での映画。
衝撃を受けました。
眠気でもうろうとして下宿に帰ります。
部屋には、エアコンのない時代。
眠っていると、映像がよみがえります。
満州から逃げかえる人びとの群れ、そして遅れた者たち。
その中での、首吊りシーン。
「ワーッ!!」と、何度もうなされて目が覚めました。
『人間の条件』を観たことは、本当によかったと思います。
父のグンタイ生活の話や、
センソーのイメージがつくられていきました。
それにしても、あの頃の教師たちは、いったい何だったんだろうなと思います。
映画を観に行くことにさえピリピリするとは。
各地の大学で、ガクエンフンソーが多発し、コーコーフンソーまで起きる時代でした。
今では、若い人たちが声をあげるなど考えられないことでしょうが … 。
教師たちは、戦々恐々としていたのだと思います。
ゲタばき登校やマルガリ校則、8時間授業を問題にするなど、
各地のコーコーフンソーとはまるで違っていたのではないかと思います。
セクトとか呼ばれるものとも全く無縁な、自然発生的なものでした。
何とも牧歌的な動きでした(笑)。