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有為自然 388   不思議だ こんな静寂があるなんて  話(53)

  不思議だ こんな静寂があるなんて  話(53)

 

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『朝の読書が奇跡を生んだ』の中で、

Kセンセーがひきつけられた一節を紹介します。

 

皆さんのコーコー時代を思い出して、読んでみてください。

 

朝、8時35分のチャイムが鳴ると、

クラス担任の教師たちはいっせいに職員室を出て、

それぞれの教室に向かう。

出席簿を手にしている姿は他の学校と変わりはないが、

一つだけこの学校の教師たちが違っているのは、

それぞれの手に、

自分の好きな本を一冊抱えていることである。

生徒たちといっしょに、

朝の「読書の時間」に読む本である。

 

教師だけではない。

生徒たちもそれぞれ自分の好きな本を一冊、

鞄に入れて登校する。

船橋学園の朝が、

10分間の全校一斉読書から始まるからである。  …

 

… 読書の時間を告げるチャイムが鳴った。

もう校庭にも、廊下にも、高校生たちの姿はない。

「どうぞご自由に!」と言われて、

恐る恐る3年4組の後方のドアをあける。

 

一瞬とまどう。

そこはまるで別世界。

水を売ったような静けさの中、

40数人の高校生と先生がシンとして、本に集中している。

20年あまり取材を続けてきて、

高校の「教室」でこんな静寂に出会うのは初めてだ。

コトリとも音がしないのが、ちょっと不気味なほど。

   …

そっと教室を出て、隣のクラスのドアをあける。

一瞬、数人が後ろを振り向くが、あとは再びもとの静寂。

 

それにしても不思議だ。

こんな静寂が高校の教室にあるなんていうこと自体、とても不思議だ。

 

教室の後ろに立っていると、

女子高校生たちのサラサラした長い髪が目にまばゆい。

本に熱中している高校生の姿は何とも美しい光景である …

 

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さんざん苦しんでいる「大変なコーコー」の現場。

それにくらべて、夢のような光景だ。

「毎朝10分、セートが自分で選んだ本を読む時間」を設けただけで、

こんなにすごいことになるのか。

まさに奇跡だ。

 

ところで皆さんのコーコー時代の、朝の風景はどうでしたか。

遅刻もなく、静かな朝だったでしょうか。

 

Kセンセーの出た田舎の出身校は「異常な進学校でした。

遅刻も全くといっていいほどなく、静か。

チャイムが鳴ってから、廊下を走って駆け込むのは、彼ぐらい。

 

しかし、彼が赴任した「大変なコーコー」は、

それとはまったく違う世界だったのです。