奇跡は 起きたの ? 話(56)
Kセンセーは、「朝の読書」について語ります。
ショクインカイギですったもんだの末に、
やっと全校一斉の「読書の時間」を導入した。
「朝の読書」の時間のチャイムが鳴る前に、クラス担任が教室に行く。
たしかに、遅刻は少なくなった。
しかし、驚くほど減少したわけではない。
シーンと静まり返って本を読むと思いきや、
クラスによって大きな違いがでてきた。
Kセンセーのクラスや、
強いセンセー、こわいセンセーのクラスは、全員、読書に取り組んだ。
ところが、やさしいセンセーや、
「朝の読書」に反対だったセンセーのクラスは、惨憺たる状況だった。
本を持ってこない。
読まずに、私語をする。
寝ている。
化粧をしている。
ただボーッと座っている。
「朝の読書」に反対のコクゴのキョーシは、
「うまくいくわけないでしょ。
そもそも朝の読書なんて、間違っているんだから」と。
セートが騒いでも、彼は一切注意しない。
そりゃ、キョーシがそんな気ですから、うまくいくわけない。
悲劇的だったのは、真面目なセンセーたち。
「教師は読むことで手本をしめす」という原則を忠実に守ったキョーシもいた。
セートが騒いでいるのに、彼だけが教卓のところで本を読んでいる。
まさに「苦行僧」の世界である。
静まり返ったクラスと、騒いでいるクラス。
真面目にやろうとして、苦しんでいるキョーシ。
こんな状態が4年ほど続いた。
Kセンセーは、
まじめなセンセー方に申し訳ないので、
もう「朝の読書」をやめようかと迷った。
さてこの後、どうなったとお思いになりますか。