仮装行列の悲劇 話(74)
Kセンセーが、
ジョシコー時代のタイイクサイの話を思い出して語ります。
恒例の「仮装行列」。
全クラスのセートたちが、クラス担任に仮装をするのだ。
担任とセートがうまくいっているクラスはいい。
うまくいっていない場合には、どうなるか。
「ゴキブリ」の仮装があった。
残酷である。
誰が見ても、担任が気の毒であった。
明らかに悪意がある。
うまくいっていないクラス担任は内心、戦々恐々である。
セートたちは、なにをやるか当日まで秘しているのだ。
Kセンセーは1年目、「乞食」をさせられた。
仮装の係になったセートたちは、乗り気でなかった。
何も準備しない。
そこで彼は短パンに、自分の着古したシャツをズタズタに切り裂いてまとった。
リヤカーを引き一升瓶を手にもち、
口に水をふくんではプーッと噴き出した。
コースを一周する間、大喝采をあびた。
その年、一番、目立った。
みじめな姿をさらさずにすんだ。
2年目は、セートと良好な関係になった。
ロックバンドの「キッス」。
3年目は、「ハイカラさんが通る」の「疲れた女」。
女装である。
セートたちが白粉を塗ってくれた。
セートも嬉々としていた。
リヤカーに畳がしかれ、その上に着物姿で横に座る。
コースを1周する間、キセルでタバコをふかし、観客席に流し目を送った。
これまた、異様な盛り上がりみせた。
終了後のショクインカイギで、
仮装のあり方を検討するように発言した。
しかし、「クラス担任がきちんと指導すればよい」という発言が相次いだ。
だいたい、自信のあるキョーシたちだ。
自分は危機をすりぬけ、うまく乗り切ることができた。
2年目、3年目は、楽しかった。
今も、そんな「仮装行列」なんてあるのかどうか。
はるか昔、ウン十年前の話である。