ローレライの声に魅せられて 林を上る
いつものウォーキング。
木々の間、丘の上から、いつもの歌声(女声)が聞こえてきた。
ローレライ伝説ではないが、魅せられてしまう。
上り切ると、彼女がいた。
白髪のジョセーである。
「いつもウォーキングの途中、聞こえてくるんですよ。
合唱など、やられていたんですか?」
「うるさい … ? … ですか?」
「そんなことありませんよ」
短い会話。
笑顔で別れる。
丘を降りてゆくと、路上にカギが落ちていた。
倉庫のカギのようだ。
さらに下って行く途中の家で、見かけた人に声をかける。
「この近くに交番はないですか?」
「降りて行ったところにある信号を右です」
信号にたどり着くと、通りかかった人にまた、交番の場所を聞いた。
「ずっと先の向こうの信号のところです」
交番にお巡りさんは不在。
机上の電話で本署に連絡。
メモを書き、カギを机の中へ。
そこへちょうど立ち寄ったパトロールのお巡りさんに、報告。
もと来た道に戻らず、新しい道を探して丘に登ることにした。
2か所で「○○の丘に行くには、どう行けばいいですか?」と聞く。
4人に声をかけた。
またまた新しい道を発見した。
この日は、なんと8人もの人と声をかわしたことになる。
交番のお巡りさん以外は、すべてジョセーだった。
別にジョセーだけを、ねらって声をかけたわけではない。
たまたまである。
コロナのせいで、人と会うことが少なくなったためか、
交番や道をたずねるだけの会話でも心地よかった。
ジョセーにはたびたびこわい思いもしてきたが、今日は大丈夫だった(笑)。
そういえば、
「見事な雑種です」と誇った、ワンちゃんを連れたジイサンには、
最近、会っていない。
どうしたのだろう。