人生百年 有為自然

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有為自然 539   ガソリンスタンドに 若いジョセーが …   (95)

   ガソリンスタンドに 若いジョセーが …   (95)

 

 

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Kセンセーが、大変なコーコーに勤務している頃のことを語ります。

 

車で、通勤していた。

帰り路、ガソリンスタンドの前で、若いジョセーが旗を振っている。

「カノジョは、もしかして … 」

ガソリンが少なくなっていたので、中へ車を入れて止めた。

窓を開けると、

「センセー!!」

「お ~ !! ここで働いているの ?」

その時以来、そのスタンドを利用してあげることにした。

 

しばらくして、カノジョがコーコーにやってきた。

クラス担任は転勤してしまっていたので、

在学当時、ガクネンシュニンだった自分が相談にのってあげる。

幼稚園・保育園のセンセーを目指すというのだ。

専門学校を受験するとのこと。

 

一段落すると、カノジョが「センセーは厳しかった」と言った。

「そんなことないよ」

「だって、私にシャカイカで赤点つけたよ。単位をとらないままの卒業だよ」

「全然、ベンキョーしなかったじゃない」

 

勤めていたコーコーでは、一定の枠内ならば、単位を落としても、

進級・卒業できる仕組みに変更したのである。

何度カノジョを呼び出して話しても、

テストで及第点をとってくれなかった。

赤点をつけざるをえなかった。

 

カノジョは、入学した時から、キョーシに反抗的だった。

中学までに、よほど嫌な思いをしてきたのだろう。

キョーシ・ガッコーへの不信感が強烈だった。

顔立ちは美しく、頭も悪くないのに、とにかく反抗的で勉強しない。

普通にベンキョーすれば、よい成績をとることができるセートだった。

 

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話を元にもどす。

カノジョは専門学校を受験したが、不合格だった。

その後、病院事務として働いていたそうだ。

よかったと思っていると、

「センセー、○○ちゃん、亡くなったよ」とあとで卒業生から聞いた。

自死だったという。

交際相手とのもつれかららしい。

病院に勤めていると聞いて、ホッとしていたのに。

 

在学中、手を焼いた。

ガソリンスタンドと、専門学校の受験で相談に来た時だけが、

カノジョとの穏やかな時間だった。

その時の笑顔が忘れられない。

生きていたら、50歳になろうという年齢だ。

カノジョに対しても、何もやってあげられなかった。