「帰ってくるな」 … 「そういうことなのか」
この記事を書き、予約投稿したときには、
まだ旭川や大阪の医療危機のニュースが流れていませんでした。
それを踏まえて、読んでいただければ幸いです。
この1年、母に会っていない。
いや、会えないのである。
田舎の母が認知症を発症し、施設に入ってから数年になる。
例年、人の混む時期を避けて、春と秋、年に2回は帰省していた。
会うと、母はまだ私のことを覚えている。
ところがコロナのために、施設は面会謝絶となった。
仮に帰省したとしても、母に会うことはできない。
来年の春ぐらいには、田舎に帰れるかなと楽観していた。
なぜなら世の中、「ゴーツーの嵐」だったからである。
ところが、「ゴーツー」が始まって以来、感染が急拡大している。
「ゴーツートラベルが、感染拡大の原因だという、科学的根拠はない」
と、セーフは言う。
では、ゴーツーが感染を広げていない、という科学的根拠はあるのか ?
田舎に電話した。
まだ面会謝絶とのこと。
そして、「帰ってくるな!!」と言われた。
都会に住む人間が帰省することを、拒む意識はすごい。
都会の者が、ウィルスをまき散らす原因だと。
テレビで、毎日、出身県の感染者数も見る。
ほとんど一桁。
たまに二桁。
あの数字なら、都会居住者への拒否感がすごいはずだ。
今年の春、母の施設と同じ市に住んでいる叔父は、
面会謝絶のまま病院で亡くなった。
自分は、葬式に行くことができなかった。
春に予定していた、出身県での恩師の1周忌の集まりも中止。
母に面会できなかったとしても、せめて叔母たちに会いたい。
こっそり帰りたい気持ちもあるが、「帰ってくるな!!」だから無理だ。
コロナの感染を抑え込む戦略がないセーフに、いらつく。
いらだたしさの根っこには、帰省できないということがある。
「帰ってくるな!!」と言われている人間は、ニホン中にいるだろう。
テレビを見ていたら、
「今の状況にセーフは、危機感はないのか。
コロナの感染を抑えるために、思い切ったハンマーが必要なのではないか」
という質問。
「ニホンは欧米に比べれば、
比較にならないほど死者数も感染者数も少ない」と、
セーフの考えを代弁するジャーナリストが答えていた。
確かに欧米と同じグラフで見ると、
ニホンはグラフの底にくっつくくらいの低さである。
そういうことだったのか。
セーフ関係者は、
「ある程度の死者、感染者が出ることを容認している」ということなのだ。
あれほど病院・医学関係者が「医療崩壊」を訴えているのに、
セーフはなぜ聞く耳をもたないのだろうと不思議に思っていた。
そういうことなのか。
「経済のためには、
少しぐらい死者・感染者が出てもいい」ということなのだ。
ようやく、謎が解けた。