ダイヤモンド富士の 追っかけ
1月は、ダイヤモンド富士をたずねて三千里ではなく、
何百里でもなく、何百米(㍍)。
6日間、丘の上に登った。
その場所も違う。
とにかく、太陽の追っかけをやっていたのである。
これまでの人生で、
ダイヤモンド富士なんて、全く無縁だった。
教えてもらった最初の3日間は、
富士山の斜面に、夕日が入った。
ダイヤモンド富士には、ならなかった。
しかし日没後の富士山のシルエットは、驚くほど美しい。
葛飾北斎の気持ちが、ほんの少しだけ分かるような気がした。
3日目のこと。
近くにいた老夫婦に、
「この時期、ダイヤモンド富士が見えるそうですよ」と話しかけた。
すると、「それは、1週間後の1月〇日ごろでしょう。
私たちは、毎年、見に来ています。
カメラを持った人が、やってきますよ」との返事。
「そうなんですか。
じゃ、来週、見に来ます」と言うと、
「来週、またお会いしましょう」と去って行かれた。
そして、1週間がたった。
老夫婦とも再会。
ボランティア仲間も、5人来た。
10人を越える人が集まった。
途中1日、別な場所からも見た。
だから、5日目。
初めに日時を教えてくれた大先輩もやってきた。
彼は80代半ばで、まだ勤めている。
会社を早めに終えての参加。
「計算式に、富士山の高さを入れそこなった。
初歩的なミスだ」と。
そして、みんなで、ダイヤモンド富士を撮った。
5日目も、ほんの少しずれた。
「明日は、〇〇のところから見て見よう」ということになった。
「来年は、このあと飲もうよ」
「こんな寒い所じゃ、ムリ、集会所にしよう」
やっぱり、アルコール談義。
6日目。
新しい場所に向かう。
途中、見知らぬ高齢ダンセーから声をかけられる。
「○○公園は、どこでしょう ?
ダイヤモンド富士を見に行きたいのですが」
「私も行くところです。
私の勧められた場所の方が、よく見えると思います。
一緒に行きましょう」
ほんの少し雲がかかっていたが、ダイヤモンド富士に出会えた。
わが団地からは、1キロほど離れている。
でも、よく見える場所だった。
6日目は、わが団地の住人は一人もいなかった。
年2回のダイヤモンド富士。
地域の名物にして、みんなで盛り上がる機会にしようと、
今から考えている。