あなたの好きな 落語家さんは ?
みなさん、好きな落語家さん、いらっしゃいますか ?
私は、小三治さんです。
生の落語を初めて聞いたのが、小三治さん。
それ以来、はまってしまいました。
子どもの頃から、落語を聞く習慣はありませんでした。
テレビの落語も、ほとんど見ていません。
小三治さんの客は、「笑おう笑おう」と思ってやってきています。
「寅さん映画」の観客に似ているのです。
会場全体が、笑う気満々。
小三治さんが舞台に出てきて、高座に登る。
客はみな、その動きにじっと見入る。
彼が無言でお茶を飲む。
何も話していないのに、
彼のちょっとしたしぐさに爆笑と拍手が起きます。
「大統領!!」という声が飛んだこともあります。
「俺は、大統領なんかじゃねーや。
大統領だったら、〇〇なんかしねえ」と。
どっと、笑い。
落語の本題に入る前の「枕」。
こんなに「枕」が長くて大丈夫かなと思ってハラハラしていると、
終了時間まであと何分となってから突然、「小言念仏」。
「どじょうや ~ 」
「今日は、落語なんてどうでもいいや」の一言で、大爆笑が起きたことも。
拍手喝采です。
ついに「枕」だけで終わったこともありました。
そのときは、妙に感激。
「鰍沢(かじかざわ)」は不思議な落語でした。
南無妙法蓮華経。
最初から最後まで、笑いなし。
この落語は、いったい何なんだ。
とにかく、怖くなったのと、驚いたのと。
終わったあとも、余韻が残りました。
小三治さんは、最初ニコリともしません。
あの厳しい顔が好きです。
じっと客を眺めまわす。
突然、いたずらっぽくニッと笑う。
千変万化なのです。
あのしゃべり方に、ほれ込みました。
もっと早く出会っていたら … 。
自分の仕事にも、きっと役立ったに違いありません。
年2回は、小三治さんの落語会に出かけていました。
電話での予約の時は、
開始時間になった途端に携帯をプッシュ。
切っては押し、切っては押しを繰り返します。
瞬時にとれたことも。
30分以上、かけ続けたことも。
他の落語家さんには、全く興味がありません。
テレビで観ても、何かつまらないのです。
小三治さんは、自分にとって唯一で最高の落語家。
コロナのために、
昨年も今年も聞くことができませんでした。
お身体は大丈夫かなと心配していました。
訃報に絶句しました。
もう小三治さんの生の落語を聞くことはないのです。
残念でなりません。
小三治さんの冥福を、心からお祈りしています。