人生百年 有為自然

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有為自然 914  死んだオヤジの 残したものは …

  死んだオヤジの 残したものは …

 

 

「○○○○(私のこと)が帰ってくると、

父さんの機嫌が悪くなっていた」

 

父が亡くなったあと、

認知症になる前の母が話したことです。

 

学生時代、帰省するたびに父と口論。

 

「お前の考えは、とんでもない。

いったい誰(どの教師)の影響を受けた!!」

 

社会的なことを口にしたことがなく、

関心ももたなかった父。

そんな父でしたが、父の話したことの中で、

「強烈に記憶に残っていること」があります。

 

父は終戦の前年、学校(今の大学)を繰り上げ卒業。

国内で、8カ月の軍隊生活。

そして終戦

 

大学卒だということで、徹底的に理不尽にしごかれた。

きびしい訓練やしごきによって、病死した戦友。

 

戦後になって、映画館の前で土下座して父に謝った上官。

      (戦時中、軍隊内でひどいしごきをやっていた)

 

兵たちの間で話題になっていた、城下町の美しい娘さん。

空襲の焼け跡で、防空壕を片づけていると、

彼女の焼けただれた死体が出てきた。

 

 

(父の)弟が少年兵に志願することに同意した。

そのことへの後悔。

弟は、沖縄戦で戦死。

 

父は学業成績もよく、スポーツ万能の人間。

しかしその父から、戦争の勇ましい話を聞いたことは一度もありません。

 

ヒロシマナガサキへの出張の際には、

原爆の写真集を買ってきてくれました。

 

父は反戦運動や、

アンポ反対の運動をするような人間ではありませんでした。

しかし、その父から

「戦争は絶対によくない」ということを叩き込まれた気がします。

 

自分は戦争を知らない子どもたちより下の世代。

そんな自分が戦争反対の考えが強くなったのは、父のおかげです。

 

8月のお盆の時期になると、いつも父のことを思い出します。

 

「死んだ男の残したものは」の替え歌です。

 

♫ 死んだオヤジの 残したものは

  戦争体験と 戦争反対の気持ち

    …

 

父が生きていたら、今年98歳。

今の二ホンを見て、どう思うことでしょう。

 

今だったら、父と酒を飲みながら、おだやかに話せたと思います。

それができないのが、残念。

 

 

でも、こんな気持ちになっている自分を、

父はあの世から笑顔で見てくれているかな。

 

* 「死んだ男の残したものは」

    作詞は谷川俊太郎さん、作曲は武満徹さん。

    何度聞いても、心にしみる曲ですね。