短い間でしたが ありがとうございました 250914

「こんなに近くに、あったなんて知らなかったんですよ。
今年になってから通い始めました。
もっと早く知りたかったです。
短い間でしたけど、本当にありがとうございました」
「五十○年やってたんですよ」と、
先代(お爺さん)が奥から出てきて答えた。
店を出る前に、奥の方に向かって声をかけたのだ。
みんなから最後の声をかけられつづけているのだろう。
当代のおやじさんも、おかみさんもさびしい表情だった。
漁港市場から仕入れている魚屋さん(新鮮・旨いそして安い)の
閉店最後の日のことである。
その週は、3回、刺身を買いに行った。
通い始めて、わずか4~5カ月。
自分が通い始めた頃には、
閉店のことはすでに決まっていたに違いない。
ボランティア仲間の高齢女性2人を車に乗せて、
買いに行ったことがある。
その時、おかみさんに話しかけた。
「デイサービスの送迎なんですよ。
ぼくは、その運転手なんです」
「そうなの?」
「冗談です(笑)」
「信じちゃうじゃないの!
デイサービスなんて、二人に悪いでしょ!!(笑)」と返ってきた。
ボランティア仲間の女性と自分と二人で行くこともあった。
別な日に一人で行くと、
「今日は一人? さみしいね」と。
そんな会話も、もうなくなるのだ。
写真をとっておきたかった。
きちんと記憶していることができるだろうか。
不安である。
もう彼らに会うことはないだろう。
今年の初めには、ボランティア仲間の男性が突然亡くなった。
数年前には、ボランティアに入会して1カ月の男性も。
出会いと別れが早くなっている。
一人一人を大事にしていかなければと思う。