「詐欺」のカラクリ 「夏休みの宿題」ひとまず完了
250823

本気で「○○案」だと信じたんです。
中味を一つ一つチェックしたら、驚くばかりです。
およそ「○○案」と言えるものではありません。
1,980円も出して買ってしまいました。
カラクリは、以下のようになります。
・ 作成に参加したのは、ほとんどが素人。
・ リーダーはプロ中のプロ。
超エリート大学出身の弁護士。
国家試験合格者なので、
「○○案」などと言えるものではないとわかっているはず。
特殊な「価値観、歴史観」の持ち主なんだろうな。
・ 「憲法案」をつくる際に、
「憲法とはなにか」ということを、深く論じさせない。
素人を集めてワイワイ騒ぎながら、一定の方向へ導いていく。
一種の「詐欺商法」。
・ できたのは「創憲案」。
日本国憲法の否定。
・ この過程で、刷り込むものは ?
日本は、過去に侵略戦争をしたことがない。
アメリカなどの罠にかかり、戦争せざるをえない状況に追い込まれた。
その結果、敗れてアメリカ占領軍に憲法を押しつけられた。
自分たちの手で憲法をつくるべきだ。
「大日本帝国憲法」を、現代風の化粧でアレンジ。
「日本は、神の子孫=天皇が治める国」という価値観・歴史観の刷り込み。
・ 「改憲」の「旗振り役」「突撃隊」になるのが、現実的な役割。
国会内外で「改憲」を推進する。
以上のようなカラクリです。
どうでしょう ?
「夏休みの宿題」を、以下に紹介します。
ブログの記事にはふさわしい内容ではありません。
もともと、学習会用の「資料」として作成したものです。
メールの「添付」という形式で送ることができればいいのですが。
ワードなどでコピー・貼り付けしてご利用いただければと思っています。
時間に余裕のある方は、ぜひご覧ください。
参考文献 『○○党と創る 新しい憲法』
○○党とは、デマや「▲▲▲ファースト」で急伸長した政党です。
図書館でご覧ください。
【資料】 2025年8月
「創憲案」を読み解く その本質は何か
* 転記ミス、誤字・脱字をお知らせください。
前文 「天皇がしらす国」 「国體」
前文 日本は、 … 八百万の神と祖先を祀り … 天皇はいにしえより国をしらすこと
悠久であり … これが今も続く日本の國體である。
* 日本国憲法前文の「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」なし。
「人類普遍の原理」なし。「平和のうちに生存する権利」なし。
日本は神々を祀り、神の子孫である天皇が治める「宗教国家」とする。
これを認めないキリスト教徒、仏教徒、無神論者、無宗教者は「非国民」。
国歌 君が代は 千代に八千代に さざれ石の巌となりて 苔のむすまで
* 戦前の「修身」教科書では、「天皇陛下のお治めになる御代は、
千年も万年もつづいておさかえになりますように」と説明。
天皇による治世が永遠に続きますようにという意味である。
第1章 天皇
* 日本国憲法 第1章「天皇」は「国民主権」の裏返しの表現。
創憲案には「国民主権」は明記されていない。
(天皇)
第1条 日本は、天皇のしらす君民一体の国家である。
* 天皇が治める国。「君主と民」が一体となった国家
2 天皇は、国の伝統祭祀を主催し、国民を統合する。
* 神道の祭祀・行事で、国民を統合する宗教(神道)国家。 政教分離の否定。
3 天皇は、国民の幸せを祈る神聖な存在として侵してはならない。
* 大日本帝国憲法の「神聖不可侵」を復活。この規定から不敬罪、大逆罪、治安
維持法などが生まれ、多くの犠牲者が生まれた。有名なのは、内村鑑三の失職
(不敬事件)、幸徳秋水らの死刑(大逆事件)、小林多喜二虐殺・三木清獄死
(治安維持法など)。
(皇位継承)
第2条 皇位は、三種の神器をもって、男系男子の後嗣が継承する。
* 神話にもとづく「三種の神器」を憲法に明記。
女系・女性の天皇の完全否定。
(天皇の権限)
第3条 天皇は、全国民のために詔勅を発する。
* 戦前の「教育勅語」「軍人勅諭」などは国民の精神を支配し、洗脳した。
第2章 国家
* 日本国憲法 第2章は「戦争放棄」である。
(国)
第4条 国は、主権を有し、独立して自ら決定する権限を有する。
* 「国民主権」ではない。
日本国憲法は、国会での審議によって「国民主権」を明記した。
2 暦及び元号は、これを天皇が定める。
* 時間を皇帝が支配すると言う古代中国の思想である。
3 国号は日本、国語は日本語、国歌は君が代、国旗は日章旗である。
* 君が代・日の丸の強制。 歌わない人間の口元を撮影し処分できる?
新しい国歌・国旗をつくることを否定。
4 公文書は、必ず元号及び国語を用い …
* 国際的に通用しない不便な「元号」の使用を強制。 西暦併記を禁止。
(国民)
第5条 国民の要件は、父または母が日本人であり、日本語を母国語とし、日本を大切
にする心を持つことを基準として、法律で定める。
* 日本人と結婚した外国人を、日本国民とみなすには ?
「日本を大切にする心」を持っていないとみなされれば「非国民」。
「日本を大切にする心」の基準は? 「心」まで支配する国に。
第3章 国民の生活
* 日本国憲法第3章「国民の権利及び義務」は31か条。ほとんど権利と自由。
創憲案では、日本国憲法で示された自由と権利の大半がない。
(家族)
第7条 家族は社会の基礎であり、思いやりの心をもって互いに助け合う。
* 日本国憲法の最大価値である「個人の尊重」はない。「家族」を優先。
* 「互いに助け合う」義務が発生。生活保護を受けることが厳しくなる。
3 婚姻は、男女の結合を基礎とし、夫婦の氏を同じくすることを要する。
* 同性婚や選択的夫婦別姓を、憲法で否定。
(国民の基本的な自由と権理)
第8条 すべて国民は、主体的に生きる自由を有する。
* 「自由」はこれだけ。 身体や精神の自由、その他の自由がない。
(教育)
第9条3 国語と古典素読、歴史と神話、修身、武道及び政治参加の教育は必修とす
る。
* 神話教育、修身など戦前の教育の完全復活である。
4 教育勅語など歴代の詔勅、愛国心、 … 地域の祭祀や偉人、伝統行事は教育に
おいて尊重しなければならない。
* 赤木俊夫さんが自殺に追い込まれた森友学園。学園の子どもたちが「教
育勅語」を唱和する姿は、洗脳教育の実例である。
「朕(ちん)惟(おも)うに、我(わ)が皇祖皇宗(こうそこうそう) …
一旦(いったん)緩急(かんきゅう)あれば 義勇公に奉じ
以て天壌無窮(てんじょうむきゅう)の
皇運(こううん)を扶翼(ふよく)すべし」
意味は「一旦戦争になったら天皇陛下のために命を捧げよ」。
教育勅語は戦後すぐ、国会で廃止された。
愛国心教育、地域の祭祀、伝統行事などで、思想・良心の自由は否定。
政教分離の原則は失われる。 神道が憲法によって強制される。
キリスト教徒など他の宗教信者や無神論者は迫害の対象になる?
第9条5 学校給食は、健康に配慮し、地域の食材を使い、国内における調達に努め
る。
(食料と生活基盤)
第10条 食料は、主食である米作りを中心に、種子や肥料も含めて完全な自給自足を達
成しなければならない。
2 国は、農林水産業及び国民の生活基盤となる産業と従事者を保護育成する。
3 農林水産業は、 … 国の重要な基盤として尊重されなければならない。
(健康と医療)
第11条 国民の健康に関わる情報は、 … 国がすべて開示する義務を負う。
(環境の保全)
第12条 国民は、自然が命の源であることに思いを致し、生態系を保護し、次世代に美
しい国土を引き継がせるよう努めなければならない。
2 国は、人口の一極集中を避け、各地域の経済的発展を支援する国土計画を作
成し、災害時にも互いに助け合える体制を築くものとする。
* 教育、学校給食、食料自給、農林水産業、健康と医療、生態系、一極集
中、災害など、国民にとって切実なテーマを憲法に入れる。
皇国史観を薄め、支持を拡大するねらいか?
憲法に書き込むテーマではなく、政策上の課題である。
農林水産業、医療、国土の破壊は、政策の問題。
(政治参加)
第13条5 候補者及び議員の本名、帰化の有無、収支等の情報は公開される。
* 出自が「外国人」である者を排斥するためか。
(地方自治)
第14条 地域の風土、信仰及び文化を護り、住民の意思を政治に反映させるため、
地方自治体を設置し、その仕組みを法律で定める。
* 神社や神道の行事が、自治体の仕事になる。 政教分離の否定である。
「地方分権」という「権力分散」の考え方はない。
3 国は、地方自治に対し、外国又は国際機関からの干渉を受けないよう措置を
講ずる。
第4章 国まもり
* 日本国憲法「戦争放棄」のかわり。 「国防」の語を避けている。
(目的)
第15条 国は、直接間接の侵略や危難を未然に防ぎ、国民の安全及び自国の産業を護
り、国の独立を保ち、子孫に引き継がせることを目的に、国まもりの総合的な
方針を定める。
* 「間接侵略」を理由に、政府に批判的な国民も外敵とみなされる危険性。
(情報及び防諜)
第16条2 報道機関は、偏ることなく、国の施策につき、公正に報道する義務を負う。
* 偏りや公正を誰が判断するのか。
創憲案を作成した野党は、すでに取材の選別を始めている。
報道の統制が可能になる。
4 国は、外国による諜報活動を防ぐ機関を設置し、必要な措置を講じる。
* 「外国による諜報」「間接侵略」ということで、国民も監視する。
戦時中、「スパイ」という名目で、政府に批判的な国民が弾圧された。
(経済安全保障)
第17条 国は、国まもりのため、国内産業を育成し、
国産技術及び研究開発を促進する。
* 国防のため、軍需産業を育成し、学問も軍事に協力させる。
(外国人と外国資本)
第19条 外国人の入国及び在留条件は、国が主権に基づき、
自由に決定することができる。
* 国際的な基準に基づかなくてもよいということになる。
4 外国人の参政権は認めない。
帰化した者は、三世代を経ない限り、公務に就くことはできない。
帰化の条件は、国柄の理解及び公共の安全を基準に、法律で定める。
* 外国人の地方参政権を認めないということ。
帰化しても、本人・子・孫までは公務員になれない。
「国柄の理解」なき者は帰化させない。思想・良心・信条のチェック。
(自衛軍)
第20条 国は、自衛のための軍隊(以下、「自衛軍」という。)を保持する。
2 自衛軍の最高指揮権は、内閣総理大臣が有する。
3 自衛権の発動と解除は、国会の承認を必要とする。
ただし、緊急やむを得ない場合は、事後にこれを得るものとする。
* 緊急事態とみなせば、内閣総理大臣は自由に自衛権を発動できる。
韓国の戒厳令のような事態になると、それを止めることができない。
5 軍事裁判所を設置し、その構成は法律で定める。
ただし、最高裁判所に上訴する機会は保証される。
* かつての軍人による裁判所、「軍法会議」である。
(領土の保全)
第21条2 外国の軍隊は、国内に常駐させてはならない。
3 外国の軍隊の基地、軍事および警察施設は、国内に設置してはならない。
* 現在の日米安保条約や日米地位協定のもとで起きていることは黙認 ?
沖縄などで起きている米軍関係者の犯罪、新基地建設も不問に付す?
第5章 統治組織
* 統治機構 日本国憲法55か条。創憲案は10か条。
(統治原理)
第22条 統治は、国體を尊重し、全国民のため、和の精神をもって行う。
* 「国體尊重義務」。 神道行事への参加などが強制される。
3 すべて公務員は、日本国民であることを要する。
* 現在認められている、外国籍の人の地方公務員が認められなくなる。
(政党)
第23条 政党は、加入する国民の意志によって運営され、その要件は法律で定める。
* 「治安維持法」(死刑法)の復活。
「国体の変革」を目指す結社の非合法化。
日本国憲法にはない条項。
(国会)第24条 * 日本国憲法は24カ条 → 創憲案は1カ条
(内閣)第25条 * 日本国憲法は11カ条 → 創憲案は1カ条
(裁判所)第26条 * 日本国憲法「司法」は7カ条 → 創憲案は1カ条
(評価委員会)第27条 * 日本国憲法にはない。
(国民投票)第28条 * 「国民投票」の「過半数」を使えば、どんな法律も可。
第6章 財政
* 日本国憲法は7カ条 → 創憲案は3カ条
(通貨発行権) 第29条
(財政) 第30条
(税制) 第31条
第7章 重大事項
(最高法規)
第32条 憲法は国の最高法規であり、日本の国柄を示すものであって、
これに反する法律、条約、命令、条例その他の行為は効力を有しない。
2 国際機関の勧告や決定は、憲法又は日本固有の習慣に反する場合、
効力を有しない。
* 日本国憲法の97条「基本的人権の本質」「基本的人権は、人類の多年に
わたる自由獲得の努力の成果であって、 … 現在および将来の国民に対
し、侵すことのできない永久の権利」が、創憲案にはない。
「条約尊重義務」や国際法、国際人権規約などを否定する。
「日本の国柄」「日本固有の習慣」とは何か。 それを決めるのは?
人権の世界史的な発展を無視した「特殊な国」へ。
* 日本国憲法99条「憲法尊重擁護の義務」「天皇又は摂政及び国務大臣、
国会議員、裁判所その他の公務員は、
この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」。
日本国憲法は、「憲法とは権力を縛るもの」ということを、
実質的な最後の条文=99条で示している。創憲案には、これがない。
(改正)
第33条 各議院の総議員の過半数の賛成で発議され、法律に定める国民投票において、
有効投票の過半数の承認を得て行う。
* 与党が過半数をしめていれば、常に「改憲」を発議できる。
日本国憲法は、「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」が必要。
国民投票が低投票率ならば、ごく少数の国民の賛成で改憲が可能に。
* 「創憲案」に書かれていない権利一覧
憲法とは「権利の宣言書」「権利のカタログ」「権利一覧表」。
国家権力によって国民の権利が侵害されないためのもの。
「創憲案」に書かれていない、日本国憲法の権利を列挙する。
自由や権利の条文がなければ、裁判で争う根拠、手段がなくなる。
下記の権利がなくなれば、どうなるか ?
基本的人権(11条) 「侵すことのできない永久の権利」
創憲案は「人類普遍の原理」を否定。「日本の国柄にあった人権」という捉え方。
個人の尊重 幸福追求権(13条) 「個人として尊重」「幸福追求権」
創憲案は、プライバシーの権利がなくなる。 選択的夫婦別姓は不可能。
スマホでのやりとりを国が見ることも可能になる。
平等権 法の下の平等(14条)
創憲案は、「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」による差別を禁止しない。
国家賠償請求権(17条)
創憲案では、政府や自治体によって損害を受けても、賠償されない。
奴隷的拘束 苦役からの自由(18条)
創憲案では、徴兵制度が可能になる。
思想及び良心の自由(19条)
創憲案では戦前の「治安維持法」が肯定される。国體の変革を目指す者は死刑?
信教の自由(20条)
創憲案では、日本の「国柄」「国体」に合わない宗教を統制。 政教分離を否定。
政府・自治体が神道と一体になる。
集会・結社・表現の自由 通信の秘密(21条)
創憲案では、国柄に反する政党・団体や集会を取り締まる。
言論統制・検閲・盗聴など可能に。
居住・移転・職業選択の自由(22条)
創憲案では、政府の指示で居住地の指定、移転の制限・強制も。
非常時に、職業の指定、軍用地や公共事業などでの強制移転が可能に。
婚姻における個人の尊厳 両性の平等(24条)
創憲案は、本人同士より家族を優先。性別役割分担の復活。
同性婚、選択的夫婦別姓が不可能に。
労働者の団結・団体交渉・団体行動の権利(28条)
創憲案では、組合の結成、団体交渉、ストライキなどが犯罪になる?
財産権(29条)
創憲案では、政府の命令で土地など財産の没収も可能に。
裁判を受ける権利 弁護人を依頼する権利など(30条)
創憲案では、裁判を起こすことも、まともな裁判を受けることもできなくなる。
刑事手続きでの適正手続き保障(31~40条)
創憲案では、逮捕・捜査・拘留・拘禁など、適正に行われる保証がなくなる。
冤罪の多発。拷問が可能になり、その結果の自白も証拠に。