京都の 夏の夜のはなし
「暑い夏」といえば、京都。
就職試験。
40年以上前の話である。
1年先に京都に就職した大学時代の友人。
彼をたよって、亀岡に泊まった。
東京出身の彼が借りていたのは、民家。
エアコンなどない。
夜になって驚いた。
暑いうえに、完全な無風。
身体に暑い空気がまとわりついたままであった。
就職試験が終わって、高校時代の同級生に会った。
久しぶりであった。
彼も受験に来ていたのである。
試験が終わってから、
篠田正弘監督の映画「桜の森の満開の下」と「心中天の網島」を見た。
岩下志麻が主演女優。
映画を観て遅くなったので、彼の下宿に泊まった。
京都の夜は、亀岡以上であった。
狭いアパートの一室に、オトコ二人。
暑くて無風で、寝苦しかった。
京都の夏の夜は、とにかく暑かった。
おまけに、
部屋に張ってあったアイドル女性歌手のポスターを、ちょっとからかった。
そのために激怒された。
この話のつづきは、また明日。
なお、京都からは採用の内定通知が来た。
時、すでに遅し。
首都圏で、中途採用されていたのである。
京都は、惜しかった。
京都に就職していたら、暑い夏になじんでいただろうか。
話は変わるが、当時、親戚じゅうから自分は、
「ケッコンできないだろう、
仮に、ケッコンしても逃げられるだろう」と言われていた。
もし京都で就職していたら、
奇跡の出会いはなく、今の生活も住まいもないことになってしまう。
中途採用は、これも「塞翁が馬」か。