老いてからしか 見えぬものがある
遠く離れた実家で、一人住まいしていた母。
「今日も1日、だれとも話さなかった」と言い続けているうちに、
認知症を発症してしまいました。
現在、高齢者施設に入所中(コロナで面会謝絶)。
もし人々と交流する適切な機会と場所があったら … と、
悔しい気持ちになります。
認知症を発症した時、すぐ近所の方が亡くなっていて、
隣の親しくしていたご夫婦は二人とも入院中でした。
何カ月も問題になっていた、
老人会に集まる人々だけが、得をしている。
自治会のお金を老人会に提供するのは、不公平だ」と。
高齢者の孤立をふせぎ、集まる場所や時間を提供する老人会。
今ごろになって、
高齢者の健康な生活の支えになると思うようになりました。
6年前に誘われて、ダンセー最年少で老人会に入りました。
初めは、違和感だらけ。
「青い山脈」をみんなで歌い、輪投げやダーツ、ボッチャなどをする。
毎月の例会では、誕生日のお祝い。
囲碁・将棋・麻雀・手芸・絵手紙などのグループに分かれての部活動。
自分には、しっくりこない。
そこで、地域に花を植える園芸部をつくりました。
そして、4か所に8つの花壇。
総延長にして50メートル。
外で植物の相手をしている方が、気楽なのです。
次のような方向でまとまりそうです。
・ これまで毎年、自治会が老人会に助成金を出してきた経緯を尊重する。
・ 来年度の助成金の額は、今まで通り。
・ 使途明細をわかりやすく報告してもらう。
・ 老人会の会員だけでなく、一般の自治会員も参加できる企画をつくってもらう。
・ 全自治会員への広報を積極的に行ってもらう。
若い頃は、高齢者問題は他人事であり、ピンときませんでした。
この年齢になって、初めて理解できるようになりました。
「老いてからしか見えぬものがある」
これが、今回の実感です。
それにしても、若い世代と高齢世代を対立させる論調には腹がたちます。
「だれもが通る道」なのに。
高齢者だけでなく、障害者や病気の人、
シングルマザー・ファザーなど、すべての弱者にやさしい社会。
それこそが本当に成熟した、強い社会なのだと思うのです。
もし第5波のあと、すみやかに高齢者にワクチンを打っていたら。
もし保健所や公立病院つぶしに狂奔していなかったら。
病院に占めるコロナ関連重症者数、そして死者数も少なかったのではないか。
今ごろは、もっと経済も動いたのではないかと思うのです。
弱者にやさしい社会は、経済の上でも強い。
経済を強くしたいのであれば、弱者を大切にする。
「逆転の発想」が必要だと思っています。
みなさん、どう思われますか。