人生百年 有為自然

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有為自然 952  長い時間 一人で待ちつづける  221102

 長い時間 一人で待ちつづける  221102

 

 

救急車が救命救急センターに着くと、

イカタは集中治療室(ICU)へ。

 

コロナ感染防止のため、私は病院内に入れません。

センターの搬送口の、守衛室の向かい側の小さな個室。

患者の家族が2人しか入れないほどの狭いスペースです。

透明ビニールの向こうから、医師・看護師さんが説明をしてくれました。

 

最初に看護士さんから簡単な説明を受けたあと、一人で待ち続けます。

守衛さんに「ふつう、どれぐらい時間がかかるんでしょう?」と聞くと、

「長い人で、1時間ぐらいですかね」との返事。

ポツンと一人で待機し続けます。

1時間たち、2時間たち、3時間たち … 。

 

我慢していても、自然に涙がにじんできます。

ティシュを買いに、近くのコンビニへ。

夕食をとっていません。

自分がダウンしてはならないと、

病院の自販機でビタミンドリンクを購入して飲みます。

気がつくと、ひとりでに身体がガタガタと震えていました。

 

 

その間に、いろんなことが頭の中をよぎります。

「このままアイカタが亡くなったらどうしよう」

ギボやギフが亡くなったときは、

イカタと葬儀屋さんの3人で火葬をすませました。

今度は、自分一人で … 。

私たちは「天涯孤独」ではなく、「天涯二独」。

イカタの一族は、ほぼ絶えています。

私の身内は、遠くにいます。

連絡するところはありません。

しかし、喪中はがきはどうしよう … などと考えてしまいました。

 

ギオバのときが、これまでに私が看取った最後のケースです。

役所や諸機関、取引業者などへの連絡・手続きが次々とありました。

 

医師・看護師の説明を待っている間、

自分を責める言葉が絶え間なく浮かんできます。

 

「何でもっと早く病院へ連れて来なかったんだ」

「アイカタを説得できなかった自分は、何と弱い人間だったのか」

「なぜ、アイカタの心身の異常・変化に気づかなかったのか」

「普通救命救急の講習を受けたばかりじゃないか」

 

無理をして、明るいことも考えようと努力します。

 

「この機会に、アイカタが嫌がっていた手術をやってもらおう」

「二人いっしょに健康な身体づくりに励もう」

「退院後、いろんなところへ旅行しよう」

「二人とも生まれ変わって、残りの人生を充実したものにしよう」

「アイカタを絶対に幸せにするぞ」

 

しかし、希望ある前向きな思いは長続きしません。

 

午後10時を過ぎた頃に、ようやく医師の説明を受けました。

「ヘモグロビンが異常に減少しています。

強度の貧血です。

現在、輸血しています。

原因をつきとめるために、内視鏡検査を行いました。

貧血だけでなく、○○、○○、○○などの問題をかかえています。

意識は戻ってきました」

 

 

「意識が戻ってきたということは、もう大丈夫だということですか」

 

「いえ、そうとは言えません。

容態が急変するかもしれないからです」

 

看護士さんから入院・面会などの説明があり、

いくつもの書類にサインをしました。

 

次回は、「深夜帰宅して 愕然とした」という話の予定です。