静かなる帰還 230529
術後、出血が止まらない。
再度、再々度の縫合。
輸血も行われた。
手術した部分の痛みに加えて、脊椎圧迫骨折の痛みもひどい。
こんな状態では、予定日の退院は無理だと思っていた。
病院から電話が来た。
「もう病院でやることは、何もありません。
いつでも退院できます」と医者からの連絡。
エッ !!
傷もおさまり、自宅に帰れるとのこと。
「手すりに摑まれば、起き上がれます。
手すりや介助があれば歩けます」と医者が言った。
早く言ってよ~。
やっと納得した。
完全寝たきり状態だと思っていたのである。
前回の再現かと。
寝たまま、ストレッチャーでの帰宅、と。
地獄のような介護の始まり。
前回もそうだが、医者からは電話のみの説明だ。
以前は病院で、退院前に回復の状況や退院後の生活についての説明があった。
ギフが入院した時も、自分の時も。
ところが、コロナ以後、激変。
入院後は、本人だけでなく医者との対面もない。
そのことが患者の状態の理解を困難にした。
ただし、手術前の説明だけは対面だった。
何はともあれ、退院できた。
パートナーは、わが家の駐車スペースから車を降りて、
介助と手すりに頼ってようやく自宅の居間までたどりついた。
「劇的ビフォア・アフター」を夢みていた。
しかし、パートナーがリフォームの結果を見る余裕など全くない。
静かなる帰還。
病室で話せなかった話を、つぎつぎと話してくれた。
病院に対する私の怒りも、次第に勘違いだとわかる。
病院の現場は、コロナ以降すさまじいことになっているようだ。
話を聞いて、ようやくわかってきた。
その話は、またそのうちに。
さあ、新しいスタート。
これからは、ゆっくり少しずつ。
気持ちを新たにして、歩き始めたい。
過去の怠慢のツケを、一つ一つ払っていくことになる。
できるだけ、楽しく明るくやっていきたい。
まとめ パートナーは退院できた。
本人の状態と、病院の実態をようやく理解できた。
これから新しいスタートが始まる。