早弁 バスケ部 世界史 南の島 古書店街 240523
高校時代。
ぼくたちのクラスは、校舎4階の一番端。
非常口階段に出たところには、狭いスペースがあった。
3時間目の授業が終わると、
男子数人がいつもそこで早弁していた。
ある日、いつものように食べていると、世界史の先生が通りかかった。
「君たちは何をしているんだ!!」と、えらい剣幕で怒られた。
かねて静かな先生だったので驚いた。
怒られた中に、G君もぼくもいた。
彼とぼくの「姓」は、最初の漢字が同じ。
出席番号が近かったので、言葉をかわす機会が多かった。
G君は世界史のテストで、いつも満点に近い点数をとっていた。
世界史では、学年トップだったと思う。
ぼくは苦手科目だったので、どう頑張っても60~70点。
彼は「ナポレオンが再婚した年を知っているか?」などと、
ときどき突拍子もない質問をして周りを驚かせていた。
彼はバスケット部のキャプテンだった。
運動神経の悪いぼくとはまるで違う。
おまけに端正な顔をしており、性格も穏やか。
暗くて激しやすい自分とは対照的な人物である。
中学時代、女子生徒の人気の的だったという。
さもありなん。
高校時代も、女子の間ではそうであったにちがいない。
大学卒業後、彼は先祖の地の「南の島」に渡り、就職した。
沖縄である。
先祖が沖縄だとは、全く知らなかった。
自分たちが文化祭で「沖縄」をテーマに発表していた時も、
沖縄のことで彼と話をした記憶はない。
その彼が、就職したあと、さまざまな問題に取り組んでいたのである。
10年ほど前、写真入りの記事が新聞に出ていた。
連絡をとった。
その後、彼が上京するたびに会って飲むようになった。
しかし、コロナで途絶えた。
ところが突然電話が入ったのである。
「上京するから会おう」と。
会ってみると、彼は白髪になっていた。
「老けたねぇ」と言うと、「お互い様」と返事が返ってきた。
孫から「じいちゃん、なんで髪を白く染めているの?」と言われたそうだ。
ホテル近くの古書店街の居酒屋で飲んだ。
午後5時ちょっと過ぎから9時まで。
4時間近くも。
築地での30人の同窓会とは違い、じっくり話すことができた。
実に楽しかった。
「また飲もうと」と言って別れた。
たたかいつづける彼を見習わなければと、会うたびに刺激を受けている。
築地・大塚につづいて、今年3回目の都心行きであった。