ひっぱたいた しかし 実は … 話(35)
Kセンセーは、語ります。
「Kセンセー、A子の髪の毛を何とかしてよ」と、先輩キョーシから言われた。
A子の髪は、まっ赤に染められていたのである。
運動会の行進の時、太陽のひかりにあたって燃えるような赤になった。
今でも覚えている。
制服のスカート丈も、異常に長い。
呼び出して、何度も何度も話をした。
しかし、それでも改まらない。
「かねて、ショクインカイギなどで生意気なことを言っているくせに、
赤い毛もスカートも、指導できないではないか」
先輩同僚からの視線はきびしい。
カリカリしていた。
ある日のジュギョーのことである。
A子が私語をしていた。
「話をやめろ」と何度か注意した。
しかし、いっこうにやめない。
かねて髪の毛を注意しても、改めないことにいら立っていた。
つかつかと歩いていき、出席簿で頭をおもいっきりはたいた。
あれは、指導なんかじゃない。
怒りの爆発である。
同窓会の時、A子に言われた。
「センセー、あの時、話していたのは私じゃなかったんだよ。
後の二人だったんだよ。
センセーは、私のことを憎かったでしょう」と。
エーッ、ウソだろう !1
しかし、同窓会での別れ際、A子にハグされた。
ちょっと大柄なセートであった。
酔った勢いだったといえ、
セートにハグされた体験なんてないので、びっくりした。
「父からいつも、言われていました。
お前が卒業できたのは、
今があるのは、Kセンセーのおかげだぞ。
感謝しなければいけないぞ」と。
Kセンセー自身は、
A子が卒業できたのは、父親の存在があったからだと思っています。
さて、KセンセーとA子の父親との間には、何があったのでしょうか。
皆さん、どう思われますか。
これは、むずかしいと思います。