レポート出したら 10点やるぞ !! 話(49)
Kセンセーは、「史跡見学」の話を続けます。
レキシ嫌いだったが、史跡見学は楽しい。
セートたちにも、この楽しみを体験させたいと考えた。
そこで、史跡見学のレポートを課した。
「夏休みに史跡見学してレポートを出したら、10点あげる。
レポートをやる、やらないは、自由。
自分を入れた写真を添付する。
入館した場合、チケットも貼る。
簡単な史跡紹介と、見学した感想を書く。
レポートは2つまで可。
2つ提出したら、中間・期末テストの合計に20点プラスされる。
2で割ると、10段階の成績が一つ上がることになる」
近くの古墳、資料館、城跡などを例示した。
電車で行ける範囲にした。
これは、非常に効果があった。
史跡見学すれば、歴史が好きになり、評価も上がる。
「飴と鞭」ではなく、「飴と飴」である。
一石二鳥だ。
いくつかの見学先は、「希望者は、〇月〇日〇時、◇◇に集合」と声をかけた。
すると、あるジョシ運動部の顧問が、私が教えている部員全員に、
「Kセンセーと一緒に見学に行くように」と指示を出した。
彼が言うと、伝わり方が強くなる。
「命令」と言ってよい。
セートたちの成績を上げ、就職や推薦入試にプラスになるようにするのだ。
ジョシセートたちは、キャーキャー言いながら参加した。
楽しい思い出である。
少し遠かったが、江戸東京博物館に行ったこともある。
ダンシ数人が参加した。
セートに説明しながら見学していると、
入館されていたご夫婦が「一緒について行ってもいいですか」と。
自分は、歴史の「ど素人」である。
妻さんが発する、「センセー、センセー、これは?」という質問には参った。
気さくな美人だったので、気持ちはよかったのだが … 。
夫さんの方はおとなしく控えめな方で、お似合いのカップルだった。
当時とにかく、人前で「歴史を教えている」と絶対に言わないようにしていた。
「歴史」を教えるのは、食うための「仮の姿」。
「では、お前の真の姿は何だ?」と言われたら、
「なりそこなった倫理社会のキョーシ」かな。
結局、「専門のないキョーシ」である。
なおびっくりしたのは、「鎌倉の七切通し」をすべて歩いたジョシセート。
友だちづきあいが好きでなかった彼女は、
7つの切通しをすべて、夏休みに一人で歩いたのだ。
自分はまだ全部制覇していない。
彼女も忘れえぬセートの一人である。
「史跡好き」を少しは増やせたのではないかと思っている。
繰り返しになるが「史跡見学」は楽しかった。