人生百年 有為自然

人生百年。地域づくり、日々の生活、思いなどを中心にしたブログです。

有為自然 569   「気球って 好きですか ?」 (上) (104)

  「気球って 好きですか ?」 (上) (104)

 

f:id:uwisizen:20201018091031p:plain

 

KSストーリー、104話。

Kセンセーが語ります。

 

退職前の、最後のコーコーでのこと。

 

10歳ほど自分より若いキョーシが、言った。

「Kセンセー、気球って好きですか ?」

   「好きですよ」

「文化祭で、作りませんか ?」

   「作ったことありませんね」

「設計から、すべて手伝いますよ」

   「教えてもらえるんだったら、いいですよ」

 

彼が、自分のクラスの副担任になってくれるという条件で、引き受けた。

入学したばかりの、セートたちに持ちかけた。

そして、クラスで取り組むことになる。

 

円周30メートル、

高さ15メートルほどの巨大気球である。

揚げると、4階建ての校舎の高さより高くなる。

 

正確な記憶ではないが、

底辺の幅1メートル、長さ9メートルの布(長い三角形と台形のもの)を、

36×2本用意した。

それを、一般キョーシツよりも広いシャカイカキョーシツで、

縫い合わせていく。

家庭科のセンセーから借りたミシンを使う。

夏休みじゅう、セートが毎日ぬいつづけた。

 

副担任は、最初の設計と、布の買出しなどを手伝ってくれた。

しかし、彼は運動部の指導で、毎日忙しい。

縫製の作業は、すべてセート。

クラス担任は、セートの作業する日、

必ずガッコーに来ていなければならない。

 

「夏休み、毎日、ガッコーに出勤するんだよね?」

「当然ですよ」と、ケロッとした顔の副担任。

騙されたと思ったが、もう遅い。

 

部活のセートは、練習のためにほとんど参加できなかった。

結局、部活に入っていないセートが中心になって、

エアコンのないシャカイカキョーシツで縫い続けたのである。

室温は、40℃をはるかに越えていたと思う。

 

練習がないとき部活のセートも、たまに手伝ってくれた。

不器用な自分は、応援だけである。

猛暑の中の作業なので、ほぼ毎日、アイスの差し入れ

もちろん、ポケットマネー。

作業を、途中で断念するわけにいかない。

 

f:id:uwisizen:20201018091109p:plain

 

そして、どうなったか。

続きは、明日。