遠くに 人影が見えた
ウォーキングしながら、花壇の花ガラを摘んで回った。
新しくつくった花壇のところに、人影がある。
男性が、花壇の周囲を掃除していた。
「ありがとうございます」と声をかける。
水まきもしてくださっていた。
また一人、花の世話をする人が増えた。
話してみると、90歳に近い年齢だそうだ。
肌がつやつやされていたので、
まだ80歳に届いていない人だと思った。
数日たってから行って見ると、
今度は花壇の周りに竹ベラが数本、刺してある。
イヌが花壇を踏み荒らさないようにしてくださったのだ。
遠くから人影をみたとき、
ジャン・ジオノの『木を植えた男』のように見えた。
この絵本は、自分にとってバイブルだ。
年末の突風で、緑道の枯れ木が倒れた。
ボランティア仲間の一人が、片づけてくれた。
防犯灯のすぐ横に、葉の生い茂った木がある。
灯の光をさえぎり、夜道が暗くなっていた。
そのことを話したら、その枝も切り落としてくれた。
「広場の桜の木の、大きな枝が折れている」と、別な仲間から連絡があった。
仲間といっても、ほとんどのメンバーが自分より先輩だ。
現場に直行し、折れた枝を確認した。
市役所に電話する。
知り合いの職員が出た。
その後、市役所の職員の手で、大きな枝は片づけられていた。
自宅に一番近い花壇に水が撒かれていた。
誰だろう ?
花壇の前の、家の住人だろうか ?
とにかく、人の輪が広がっている。
新しい風が吹いている。
今年も、前向きな風を少しずつ吹かせていきたい。