自分の名前を 書き間違えるバカはいない !?
外国旅行のことを書いているうちに、S君のパスポートの話を思い出しました。
みなさん、自分の名前を書き間違えたことがありますか ?
S君のはなし。
選択的フーフベッセー制度が実現するまでの、
世を忍ぶ(?)「仮の姿」として、「戸籍姓」をツマのセーに変えた。
パスポートに「旧姓併記」が認められない時代のことです。
S君が、パスポートの申請に出かけました。
日常的には「旧姓」を使用しており、戸籍姓に慣れていない。
パスポートのサイン欄に、思い切り「旧姓」を書いてしまった。
「間違ったので、書き直したいのですが … 」と窓口へ。
すると、最初からやり直しをさせられ、手数料が2倍になってしまった、と。
「書き間違えただけです」と言っても、聞いてもらえない。
受けつけの人からすれば、
「自分の名前を、書き間違えるバカはいない」ということでしょう。
「不本意 強制改姓」だったので、腹が立って仕方がなかった、と。
銀行や病院では、「戸籍姓」で呼ばれる。
本を読みながら待っているときなど、気づかない。
「○○(戸籍姓)とは、俺のことか!!」というわけです。
S君は私同様、カキューコームインでした。
人事異動が、新聞発表される。
「戸籍姓」で発表されるために、
職場の人間だけでなく関係者にもいっさいわからない。
「戸籍姓」になってから退職する日まで、
「旧姓」を通した彼は、どこの職場にいるのか、多くの関係者にわからなくなった。
いわば「所在不明」になったのである。
退職時の新聞発表も、「戸籍姓」。
「オレの人生って、こんなものさ。
人に知られることもなく、ただ消え去るのみ」と。
退職してから彼は、近所では「戸籍姓」を名乗ることにしました。
地域のさまざまなことで市役所との関りが多くなる。
「戸籍姓」を使用しないと不便なのです。
いつのまにか「旧姓」は消えていき、「戸籍姓」へ。
しかし、どこかしっくりしない。
コッカによって「姓」を奪われてしまったのです。
あの世に、このままいくのだろうか。
「名もなき民」の一人にすぎないから、
悠久の歴史の中では大した問題ではないのだろう。
そういえば、かつてこのクニは、
植民地の人々の「氏名」をニホン風に変更させました。
「ソウシカイメイ」=「氏を創り、名を改める」。
植民地の人々の心を、どれだけ傷つけたことでしょう。
考えて見ただけでも、むごいことです。
話を元に戻します。
結婚という人生の一番喜ばしい時に、強制的に「改姓」させられる。
「改姓」しなければ、「結婚」を認めない。
世界広しといえども、ニホンだけです。
ふと浮かんだ、センゼンの教科書の一文。
「ニホンよいクニ、強いクニ、世界に一つの神のクニ … 」
別に、すべてのカップルに対して「別姓にしろ」というのではありません。
「別姓のままでいたいというフーフを、認めてくれ」というだけの話です。
誰にも迷惑をかけるわけではないのに … 。
S君の怒りが、よくわかります。
今日は、先週の「 … なんて、クソです」の話のつづきでした。
話は違いますが、2回目のワクチン接種の時、
思い切り「自分の誕生日」を間違って書いてしまいました。
受付の人から「誕生日が違いますよ」と。
1日、違っていたのです。
愕然 !!
こんなことは、我が人生で初めてのことです。
いよいよ、ニンチショーが始まったか(苦笑)。